テキサス・アレクサンダーに関しては、Pヴァインからリリースされたベスト以外にも、MACHBOXが全録音を「Vol.1」から「Vol.3」までコンプリートした音盤も、それぞれCDとレコードで持っています。
彼の底なしに重く暗いディープ・ブルースには、一度惹かれたら最後、とことんまで聴いてしまわないと心がザワザワしてしょうがない。そんな魔力がどうやらあるようです。
どの曲も「ブルースの原型」ともいえるような、ハラーとモーンのひたすらな繰り返しで、言葉は悪いですがパッと聴きは「どの曲も一緒」に聞こえます。
ところが彼のバックはロニー・ジョンソンやリル・ハット・ジョーンズ、エディ・ヘイウッド、キング・オリヴァーなど、当時のブルース&ジャズ界の名手達、しかも望む限りの最高のメンバーが集まってレコーディングしており、ファンとしては多彩なバックのアレンジの中で、1ミリもブレずにダーク・ブルースを唸るアレクサンダーの声を聴いてまたグッとくるのです。
生涯で残した写真が1枚だけなので、ジャケットもそれぞれ工夫がなされておりまして、私は”ジャズ王”キング・オリバーの写真が加工(というか切り取って貼り付けただけ!)されてアレクサンダーと並んでいる「Vol.2」のジャケットが好き。
これが1920年代のジャズとブルースを代表する超大物唯一の共演盤です。スタジオではどんな会話が交わされたんでしょうね。そういう想像を巡らせるのも戦前ブルースを聴くたのしみのひとつです。