Jimmie Rodgers/Early Years 1928-1929
正確にいえばブルースではなく、戦前に活躍したカントリーの先祖「ヒルビリー」というジャンルを代表するシンガーです。
「ヨロロィ~♪」という裏声とリズミカルなギターのカッティングがとても心地良いんですが、実はブルースとは深いつながりがあります。
というのも、彼が「ブルー・ヨーデル」として確立した歌のヒントは、鉄道員として仕事をする傍らに聴いていた、黒人労働者たちの歌うワークソングだったんですね。
彼自身もミシシッピ州の出身なので、州都ジャクソンで盛んに歌われていた、トミー・ジョンソンスタイルの、あの裏声でフレーズを伸ばす歌い方に直接影響を受けていたのかも知れません。
とにかくカントリーとブルースは、今は正反対の音楽と思われがちですが、昔は今思うよりずっとずっと近しくて親しくしていた音楽だったんです。
意外ですが、ジミー・ロジャースに影響を受けたのが、ハウリン・ウルフです。
彼自身インタビューで「ジミー・ロジャースみたいな綺麗な裏声で唸りたかった。だがオレのダミ声じゃどうしてもそうはいかない」と言っております。
ブルースの歴史を勉強しながら、他のジャンルの音楽との「横のつながり」を知るのも、戦前ブルースを聴く楽しみのひとつですね。